遺伝子組み換え作物とは?

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こんにちは、アキです。






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遺伝子組み換え作物」って聞くけど、それってどういうものなの?「品種改良」とは違うの?

「遺伝子組み換え作物」とは、なにか。
また、同じように捉えられがちな「品種改良」と「遺伝子組み換え」の特性と違いをまとめました。



品種改良とは?

私たちが日々の暮らしの中で目にしている野菜や果物といった作物は、昔のまま、自然のまま、ありのままの状態で口にしていると思いがちですが、実はその多くが、長い年月をかけて品種改良されてきた作物なんです。


スーパーで買い物をする際、以前に比べて、野菜や果物の種類が増えているような気がするなぁと思ったことはありませんか?


それは以前に比べて輸入食品が増加していることも関係していますが、それだけではありません。





主な食料の品目別輸入率の推移

単位:%
小麦とうもろこし大豆果実肉類牛乳及び乳製品野菜
1960年度1.763.593.172.13.46.610.90.1
1965年度7.873.397.988.912.49.913.40.3
1970年度0.190.799.496.317.811.510.50.6
1975年度0.296.099.896.417.224.916.91.4
1980年度0.390.5100.096.219.919.717.82.9
1985年度0.385.6100.095.624.919.617.55.0
1990年度0.584.8100.095.537.829.921.49.0
1995年度4.492.8100.097.651.743.428.015.2
2000年度8.589.2100.095.455.748.032.018.0
2005年度9.885.8100.094.959.547.031.621.3

出典:農林水産省
注:1)輸入率=輸入量/(国内生産量+輸入量)×100
注:2)輸入量については、生鮮換算等された数値である。




昭和生まれの私が子どもの頃には無かった、多くの野菜や果物がスーパーの店頭に並ぶようになったのはなぜか?


「じゃがいも」ひとつとってみても、 以前は「男爵」や「メークイン」くらいでした。

しかし、いつの間にか北海道農業研究センターが 2006年11月に公表した紫色の「シャドークイーン」など、色や形、味や食感が様々な性質の個性派が出回っています。


農作物の色や形、味や食感などの特徴は、生物として存在する全てのものが持っている遺伝子によって決まります。






という事は?

遺伝子の組み合わせが変われば、当然その生物の性質も変わるということですね。



自然界では、色とりどりの花が咲き、様々な形の実を結びますが。
それは偶然、遺伝子の組み合わせが変わったからです。

品種改良とは、人間が優れた性質だと思う作物同士の遺伝子を意図的に掛け合わせることを言います。



例えば、芽キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・キャベツ・ケールなどのこれらの野菜はみんな、同じキャベツの野生種から品種改良によってできています。

また、おいしいお米の代名詞ともいえる「コシヒカリ」は、 1956年に品質が良くおいしい「農林1号」と、病気に強い「農林22号」の掛け合わせで作られました。

出典:東北農業研究センター



害虫に強い品種、農薬や化学肥料に強い品種、災害に強い品種など、環境変化や薬剤への耐性を強化するために栽培されてきたものも多いのです。

米や小麦など、野生種の時代から、人が安定して大量生産することを明確な目的とし、品種改良を行ってきた作物もあります。



品種改良によって、私たちが、安定してさまざまな食品を、安価に手に入れられるようになったということは、確かな事実です。

このように、現在私たちが普段口にしている作物の多くは品種改良されたものだったりします。


遺伝子組み換えとは?

農業は病害虫、雑草、天候や地理など過酷な自然環境との戦いの連続です。

遺伝子組換えは、安定・多収という生産者側の利益を優先した技術として始まりました。
害虫耐性のトウモロコシや除草剤耐性のダイズが遺伝子組み換え作物の代表例です。

遺伝子組み換えとは、こうして昔から当たり前のように行われてきた品種改良の方法の1つです。




先述したコシヒカリような従来の交配による品種改良も、遺伝子組み換えも、意図的に遺伝子の組み合わせを変えて多くの人々が好む優れた性質の農作物を作っていることに変わりはありません。

品種改良と遺伝子組み換えの違いとは?

では、品種改良と遺伝子組み換えの違いは?


ズバリ、遺伝子の組み合わせを変える方法が違うのです。


従来の品種改良は、人が遺伝子に直接手を加えることはなく、交配と選抜を繰り返す方法で、親の遺伝子を半分ずつランダムに受け継ぐため、 目的にかなった有用遺伝子の組み合わせをもつ作物や家畜を育成するには多大な労力と時間がかかります。


これに対して遺伝子組み換え作物は、 自然では交配しない生物から遺伝子を持ってくることができるため、従来の掛け合わせによる品種改良では不可能と考えられていた特長を持つ農作物を作ることができます。


他の生物の細胞から抽出した、あらかじめ機能が分かっている遺伝子だけを直接対象の遺伝子に人為的に組み込むことによって、作物に新たな性質を持たせる方法で、 害虫に強い性質や栄養素を上げる効果、除草剤に強い性質など、新たな特徴を加えるものです。


不要な遺伝子の発現を抑えたり、他種のもつ有用遺伝子をまったく違う種(例えば昆虫や哺乳類など生殖の壁をも超えて)に取り入れる事が可能になるなど、効率よく目的を達成するために開発された技術で目的通りの品種を短期間に確実に作ることができます。



このように、長い時間をかけて交配・選抜を繰り返していくのが品種改良で、生殖の壁をも超えた、まったく違う遺伝子ですら短期間に効率よく取り入れることができる技術が遺伝子組み換えです。




世界で広まる遺伝子組み換え作物


遺伝子組み換え作物は、その国ごとに許可されている作物が異なります。


厚生労働省の資料によれば、 2019年8月において日本で食品として安全性が確認されて使用が認められ、販売されている遺伝子組み換え作物は、大豆・菜種・じゃがいも・とうもろこし・甜菜(砂糖大根)・わた・アルファルファ・ 2011年12月1日に承認されたパパイヤの8種類320品種あり、様々な形質が付与されています。


1996年に遺伝子組み換え作物の輸入を許可をして以来、日本は毎年多くの遺伝子組み換え作物を輸入しています。




食品として遺伝子組み換え作物が多く使われているのは、コーン油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油などの食用油、醤油、コーンスターチ、コーンシロップなどです。

また、遺伝子組み換え作物は家畜の飼料としても多く使われています。


これらの作物に共通していることは、 世界的に消費され、いずれも大量に生産されるということです。

そのため、より効率的に生産されることが求められ、技術集約が進んだ結果として、遺伝子組み換えの技術がこれらの作物に適用されるようになりました。


それに伴い、 世界の遺伝子組み換え作物の作付面積は2011年には1億6,000万ヘクタールだったのに対して、2016年には1億8,510万ヘクタールまで拡大しています。


これらから考察するに、遺伝子組み換え作物は、もはや私たちの生活に深く関わりのある存在だといえるでしょう。

参照:農林水産省「遺伝子組み換え農作物の現状について」

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